“養子”はビザが取れる?

  • 2019.07.17 Wednesday
  • 16:13

「養子縁組したら、ビザとれますか?」

という問合せをいただくことがあります。

 

まず先に、養子縁組について理解しておく必要があります。

日本の養子制度には、「普通養子」と「特別養子」の2種類があります。

 

普通養子

養子縁組後であっても、戸籍上、実親との親子関係は継続するため、実親と養親との2つの親子関係を持つことになります。

特別養子

養子縁組が成立すると、原則として子と実親との親子関係が消滅し、養子は戸籍上、養親の子(実子と同等)として扱われます。

特別養子縁組ができるのは、原則として子の年齢が6歳までと限定されています。

 

ちなみに、

親が誰かと結婚(再婚)したら、“子”と“親の結婚(再婚)相手”との関係は、自動的に(法的な意味での)親子関係が成立する、と思ってらっしゃる方がいますが、

親が結婚(再婚)しても、その“子”とその“親の結婚(再婚)相手”との間には、

法的な親子関係は自動的には成立しません!(つまり、アカの他人みたいなものです。)

もし、法的な親子関係を成立させたい場合には、“子”と“親の結婚(再婚)相手”との間で養子縁組をする必要があります。

(※あくまでも、日本の法律に照らしています)

 

 

さて、次は、養子縁組さえすれば、なんらかの在留資格が取得できるのか、という点です。

 

 

●扶養者が就労ビザの場合

例えば、母の結婚相手(父、扶養者)が就労ビザの場合、

母→「家族滞在」ビザ

母の実子(子)→「家族滞在」ビザ となります。

 

ただし、“子”が「家族滞在」ビザの対象となるためには、

“母の結婚相手”と“子”の間に、養子縁組が成立している必要があります。

 

※逆に、母自身が扶養者となる場合は、自分の実子なので、結婚相手との養子縁組の有無に関係なく、「家族滞在」ビザの対象となります。

 

また、結婚相手と子の間に養子縁組が成立していない場合、「家族滞在ビザ」には該当しませんが、

事情がある場合は、人道的な見地から、子に「特定活動」の在留資格が付与されることもあります。

しかし、あくまでも例外的な措置なので、必ずしも許可されるわけではありません。

申請の際は、疎明資料や事情の説明等、慎重に行う必要があります。

 

 

●扶養者が日本人の場合

これは、状況によって、やや異なります。

もし、日本人との間に「特別養子」縁組が成立している“子”であれば、

実子と同等の扱いを受けるため、「日本人の配偶者等」ビザになります。

 

ただし、外国人配偶者の実子である“連れ子”の場合、

通常、日本人とその子の間で行う養子縁組は「普通養子」となるため、

「日本人の配偶者等」ビザは該当せず、「定住者」ビザに該当する可能性があります

 

なお、“子”が永住者特別永住者定住者日本人の配偶者永住者の配偶者の扶養を受ける場合も、同様に「定住者」ビザに該当する可能性があります。

 

これは、以下の告示で「定住者」に該当すると定められているためです。

 

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(法務省告示第132号/平成2年5月24日、法務省告示第357号/平成2772日改正)

6号イ 

日本人、永住者の在留資格をもって在留する者又は(中略)特別永住者の扶養を受けて生活する

これらの者の未成年で未婚の実子

 

6号ロ 

一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者(中略)の扶養を受けて生活する

当該者の未成年で未婚の実子

 

6号ニ 

日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者又は一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者で日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活する

これらの者の未成年で未婚の実子

 

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ちなみに、上記にあるように、“未成年で未婚の実子”とあるため、成人や既婚の場合は該当しません。

また、夫婦どちらの実子でもない場合も、該当しません。

しかし、永住者の配偶者の連れ子や、定住者の配偶者の連れ子の場合は、

上記の告示にあるように、未成年で未婚であれば「定住者ビザ」に該当する可能性があります

 

なお、夫婦どちらの実子でもない場合であっても、

養子縁組をしていて、かつ、“6歳未満”であれば、「定住者」ビザの対象となってきます。

 

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法務省告示第132号/平成2年5月24日、法務省告示第357号/平成2772日改正

7号 

次のいずれかに該当する者の扶養を受けて生活するこれらの者の六歳未満の養子(第一号から第四号まで、前号又は次号に該当する者を除く。)に係るもの

イ 日本人

ロ 永住者の在留資格をもって在留する者

ハ 一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者

ニ 特別永住者

 

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個別のケースについては、ご相談ください。 

改正健康保険法、成立

  • 2019.05.16 Thursday
  • 11:00

 

2019215日のブログ「マイナンバーカードが保険証に?」でも紹介しましたが、

マイナンバーカードを健康保険証として使用できるようにする旨を含む改正健康保険法が、

2019515日の参議院で可決され、成立しました。

 

 

この改正健康保険法のうち、おそらく利用者に大きく関係するであろう内容は、簡単に言うと以下のとおりです。

 

1、医療機関を受診し、保険診療を受けようとする者は、

電子資格確認等(=マイナンバーカード裏面のICチップ読取)により、被保険者であることの確認を受け、当該給付を受ける。

 

2、健康保険の被扶養者の要件を以下のとおりとすることを、厚生労働省令で定める。

日本国内に住所を有する者

外国に留学する学生等で、日本国内住所を有しないものの、渡航目的等を考慮して、日本国内に生活の基盤があると認められる者

 

 

施行日は、一部を除き、令和2年(2020年)41です。

 

 

 

 

ところで、マイナンバーカードですが、

実際にもってはいるけども、マイナンバーを確認すること以外に使ったことはほとんどない、

という人も多いのではないでしょうか。

 

マイナンバーカードを持っていれば、何ができるのか、ちょっと調べてみました。

 

【マイナンバーカードの使い道】

 

・電子署名を利用して、各種行政手続きのオンライン申請ができる

・本人確認の身分証明書として使える(銀行口座開設、パスポート新規発給等)

・オンラインバンキング等のオンライン取引に利用できる見込み

・コンビニ等で住民票や印鑑登録証明書が取得できる(現在、619市区町村、約9,600万人が対象)

 

なお、電子署名として利用する場合は、ICカードリーダライタの準備が必要になりますが、

これは、スマホにアプリをダウンロードすることで、カードリーダーとして使用できるそうです。

 

 

とはいっても、そうそうマイナンバーを使用する機会も多くなさそうです。

 

しかし、健康保険証としての役割もマイナンバーカードが兼ねるようになれば、

マイナンバーカードの出番はぐっと増えそうです。

永住ビザの許可要件が厳格化される見込みです

  • 2019.04.01 Monday
  • 13:04

 

永住許可の要件については、入管法22条2項に規定されていますが、

具体的なポイントについては永住許可に関するガイドラインで示されています。

 

このガイドラインはたびたび改定されており、直近では平成29年4月26日付けで改正され、高度専門職に該当する一定の外国人に対して永住許可要件のうち、居住要件が大幅に緩和されました。

 

このたび、新たな改正案がパブリックコメントに掲載されました。

 

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パブリックコメントとは・・・

公的な機関が規則や命令(審査基準や処分基準など)等を制定しようとするときに、広く公に、意見、情報、改善案などを求める手続きのことで、「意見公募手続」と同義で使われます。

よって、パブリックコメントが掲載された時点では、それは決定されたものではありません。

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公表資料によると、永住許可の3要件のうち、いわゆる「国益適合要件」(22条2項本文)の一部について、以下のとおり改正(厳格化)される見込みです。

 


 

【変更前】

 

(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。

イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること

 

【変更後】※傍線箇所が変更点(赤字引用者)

 

(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。

イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(税金,年金及び保険料の納付義務並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。 

 


 

従前より、公的義務履行状況は審査対象になっていましたが、その内訳(内容)が明確化された形です。

 

以前弊社ブログでも紹介しましたが、入管法改正に際する衆議院付帯決議(10号)には、以下の文言が盛り込まれていましたので、おそらくそれを反映させた形かと思います。

 

「近年の我が国の在留外国人数の増加を踏まえ、在留外国人からの永住許可申請に対しては、

出入国管理及び難民認定法第二十二条第二項の要件の適合性について、厳格に審査を行うこと。」

 

ガイドラインなので、公布・施行という概念はありませんが、

パブリックコメントの結果公表次第、おそらく5月下旬には運用が開始されると推測されます。

 

永住許可の要件確認の際は、上記を経緯及び趣旨を踏まえ、より厳格な事前検討が必要です。